三位一体の新構想・第三の柱「フチ・インカム制度」――未来の食を支える新たな提案

今回のアイキャッチは、未来への問いかけですので、答えはありません。記事をお読みになりながら、こちらをヒントとして、あなたの中の答えを考えていただくきっかけになれば幸いです。
ちなみに、こちらのアイキャッチの問いかけにある「お金」とは、「円」のことですね。
さて、江戸時代の「扶持という思想」と、いまの「崩れゆく年金制度」。これまでの記事でたどってきた二つの話は、時代こそ違いますが、「人々の暮らしを誰が、どう支えるのか」という問いでつながっています。
年金は、老後や障がい、遺族の暮らしを支える大切な制度です。同時に、食料を作り、運び、医療や介護、家事などを担う人々の暮らしを支えることも、社会の未来につながります。
さて、今回で三位一体の新構想のむすびとなる第三の柱・「フチ・インカム制度」は、国が取得した国産食糧の価値を、国内通貨「仁」で人々の食へ届ける構想です。
いくら、どのように配り、家族や施設ではどう使うのでしょうか。扶持米の発想から順に考えていきます。
「人々の食を支える」を、もう一度考える
フチ・インカムは、国内の食を支える制度です。その考え方の手がかりが、江戸時代の扶持米にあります。
フチ・インカムとは
フチ・インカムとは、国が買い取った国産食糧の金額をもとに、国内通貨「仁」を毎月届け、人々の食を支える制度です。名前の「フチ」は、人の暮らしを支える「扶持」という言葉から取りました。この発想の原点は、はるか江戸時代にさかのぼります。
ヒントは江戸時代の「扶持米」
江戸時代には、主として武士とその家族の暮らしを支える「扶持米」がありました。詳しくは「扶持という思想」でご紹介しています。
もちろん、現代の身分や働き方に合わせて、仕組みの形は変える必要があります。そのうえで、「すべての国民の糧を支え、暮らしも支える」という発想に発展させます。
それが「フチ・インカム」です。現代では米そのものに代えて、国産食糧の価値を人々に届けます。
そのために、これらの三つの仕組みを組み合わせます。
和むすび市庭・三位一体の構想
国産食糧を「国が取得」し、その価値を国内通貨「仁」で、国民の食卓に「フチ・インカム」を届ける。それこそが、和むすび市庭の三位一体の構想です。
国が国産食糧を取得する
「国産食糧公的取得政策」は、国が契約した農水産物の生産者から、その生産物を買い取るというものでした。翌年度に配布するフチ・インカムの総額は、前年に国が実際に取得した対象食糧の金額を基準にします。
もちろん、生産者への買い取り代金は、その都度「円」で支払います。その円をどう用意するかは、実際の制度にするうえで検証が必要ですが、こちらは概ね税で支払われるものとお考えください。
国産食糧を購入するために国内通貨「仁」を発行
しかし、この国が用意した国産食糧を買い取るために、給付金などでその分の「円」を配布したらどうなるでしょうか?
もしかすると、律義にその「円」で国産食糧を買ってくれる人もいるかもしれませんが、多くの人は、より安い輸入食糧や、ほかの生活用品に使わってしまうでしょう。そのため、給付した円が、国の取得した国産食糧の購入につながるとは限りません。
そうなると、せっかく国が買い取った国産食糧も流通せずに傷んで廃棄されたり、あるいは安売りされたりすることでしょう。そうなると、この制度は始まりから成り立たなくなってしまいます。
そこで、この国産食糧だけを購入できる国内通貨「仁」というものを発行し、この国産食糧の流通が途切れないようにする、それが「国内通貨制度」でした。
そして、この国内通貨「仁」を、どのように国民に配布するのかの仕組みが、この「フチ・インカム制度」の構想となるのです。
フチ・インカムは国内通貨「仁」で届ける
「仁」は円や外国のお金と交換できない、国内専用の通貨です。認定事業者による仕入れを通じて国へ戻る詳しい流れや、長く使わずにいた場合の価値の変化は「国内通貨制度」で説明しています。
三つの制度のうち、「誰に、どれくらい、どのように仁を届けるか」を定めるのが、この「フチ・インカム制度」です。
三つの制度のつながりを、AIが次の図にまとめてくれました。

ちょっと先走った図になっていますが、どのようなものになっているか、見ていきましょう。
フチ・インカムは誰に、どれくらい届く?
国産食糧と国内通貨「仁」のつながりが見えたところで、フチ・インカムを受け取る人と毎月の額を考えます。まず、フチ・インカムが誰に届く制度なのか、確かめていきましょう。
フチ・インカムは、どんな人に届く?
この制度では、働く人、かつて働いた人、そして支えられる人の食をともに支えます。支給対象の考え方は、AIが作ってくれた次の図のとおりです。

この図からある程度想像できるでしょうか?
そうなのです。ほぼすべての日本国民に配布されるものとしているのです。
逆に言うと、外国籍の人には、例え日本に居住していたとしても、配布されません。この構想では、日本国籍を持つ人を支給対象としています。対象範囲を広げる場合には、取得できる食糧の量や、一人当たりの支給額との関係を改めて検討する必要があります。
ただし、「ほぼすべての日本国民」とありますが、その点は後で説明します。
毎月の額は、前年の取得額を基に決める
月額は前年の取得額に応じて決めるため、毎年同じ額になるとは限りません。計算の対象は、検査を経て国が実際に買い取った対象食糧です。
月額の決め方と、国内の農業・漁業産出額を使った仮の計算例をAIに作ってもらいました。
2024年の農業総産出額10兆7,801億円と漁業産出額1兆6,055億円を合計した12兆3,856億円を使っています。実際の支給額を示すものではありません。

「月々たった8500円分?これじゃ食費は賄えないよ…」
と思われるかもしれませんね。しかし、この数値は家族が増えていくと、少し印象が変わってくるかもしれませんよ。
一人分を、家族の暮らしへ
フチ・インカムは、一人ひとりに本人分を設けます。月額が仮に8,500仁なら、対象となる4人家族には、
8500仁×4人=合計34,000仁が毎月届くことになるのです。
ここまでの数値になると、ちょっと心強くなってきませんか?家族での受け取りを、まとめて受け取るか、一人ひとりの受け取りにするかなどについては、後で説明します。
年金と一緒に受け取れる
フチ・インカムは年金とともに受け取れる、食を支える仕組みです。生活保護費との調整方法は制度を具体化するときに決めるため、生活保護費への上乗せ額は、その方法によって変わります。
フチ・インカムをどのように運用するのか
本人の受給資格を守りながら、日々の買い物では家族が助け合えるようにします。登録、代理での利用、支給を止める場合を順に見ていきます。
支給の登録と毎月の受け取り
フチ・インカムは毎月、本人のデジタル口座などに届きます。対象者一人ひとりの本人分を登録し、行政が受け取り先を管理します。
対象者同士で結婚した場合は、デジタル口座を一緒にするか、それまで通り別々にするかは、当事者同士で選択します。ただし、子どもが生まれた場合は、どちらかの親の口座に紐付けをして支給することにします。
子どもが独立して自身のデジタル口座などで受け取る場合は、本人分の受け取り先を更新します。
自分で使うのが難しい場合は
乳幼児も支給対象とし、本人分は保護者が管理します。ただし、食材の消費量や仁の価値低減との関係から、支給額や時期、利用方法には検討課題が残ります。
また、端末の操作が難しい人には、本人が使えるカードや、登録された家族・介護者による代理利用を想定します。
代理する人は、本人に代わって操作する人です。フチ・インカムを受け取る権利は、引き続き本人にあります。
管理者を変更しても、本人分は続きます。登録情報や利用履歴の確認は、必要な範囲に限ることを原則とします。
フチ・インカムの支給を止めるとき
本人が日本国籍を失った場合は、その人への新たな支給を終了します。亡くなった場合も支給を終え、未使用の本人由来の仁は国へ戻します。
家族それぞれの本人分は、引き続き届けます。仁を不正に受け取ったり、転売などに使ったりした場合には、行為を確認したうえで、本人分の支給停止や不正分の返還などの措置を取ります。
世帯の財布を管理する人が不正をした場合も、子どもなど家族の本人分は守ります。必要なら、管理者を別の家族へ変更します。
服役して刑事施設で食事が提供されている間は、本人分の新たな支給を停止します。釈放後に再開するかは、状況をみて検討します。停止する理由と再開の条件は、本人や家族に分かるようにします。
転職、退職、病気による離職、子どもの独立などがあっても、本人分は続きます。必要に応じて、受け取り先や使い手を変更します。
日々の食事を提供する施設では
学校や職場、病院や介護施設などで日々の食事を取る場合は、本人分のフチ・インカムの一部を、施設の対象食材費に振り向けます。家庭と施設に別々の支給を設けるのではなく、本人分を分けて使う仕組みです。
学校給食や職場の食堂にも
学校や幼稚園・保育施設、職場の食堂などでは、実際に提供した食事の数に応じて、本人分のフチ・インカムを支払います。昼食だけなら1食、朝食や夕食、夜勤中の食事も提供されれば、その回数も数えます。
月額8,500仁のフチ・インカムを支給されている学生が、30日の月に学校の昼食を20回利用した場合の例を、AIに図にしてもらいました。

1仁に満たない端数の扱いは、制度を実際に作る際に決めます。
施設の職員でない委託先が調理する場合も、対象食材の仕入れと提供した食数を確認できれば、フチ・インカムの一部が支払われる対象とします。しかし、完成した弁当や、調理済みの冷凍・真空パック食品を買って配るだけの場合は、円で支払う食事として扱います。
仁の残高が不足するときは、事前に定めた方法に従って不足分を円で精算します。提供される食事の支払い条件や円と仁の割合などは、各法人と職員との契約に任せます。
病院への入院・介護施設への入所中の食事には
病院への入院中や介護施設への入所中も、実際に提供された食数に応じて計算します。1ヶ月間入院したなら、その月の全期間、1日3食すべてを施設で取る場合は、原則として本人の月額全額を施設の対象食材費に振り向けるということです。月の途中で入院・退院した場合には、その期間の食数を確認します。もちろん、病院や施設側は、食材以外の人件費や輸送費にかかるコストは別途円で請求できるものとします。
三位一体の構想が目指す未来
国が対象の国産食糧を買い取る「国産食糧公的取得政策」。
その食材の購入に使う国内通貨「仁」を発行する「国内通貨制度」。
そして、一人ひとりの本人分を設け、毎月、本人または家族でまとめた口座に届ける「フチ・インカム制度」。
それぞれの役割は異なりますが、それでいてどれか一つでも欠けると成立しない、文字通り「三位一体の構想」です。ここであらためて、三つの構想をまとめてみましょう。
国産食糧公的取得政策で、食糧を作り続けられる日本へ
国産食糧公的取得政策では、生産者が国と契約し、食糧の対象となる生産物を作ります。あらかじめ買い取り価格や条件が分かれば、収入の見通しを立てやすくなります。
その見通しは、設備を整え、人を育て、次の生産に取り組む土台となるでしょう。生活が安定すれば、後継者育成や新規参入を後押しし、地域の仕事と、国内で食糧を作り続ける力を支えることが期待できます。
国産食糧の継続した流通・消費を促す国内通貨制度
対象の国産食糧の購入に使われる国内通貨「仁」は、個人が使わずに保有すると、一定期間後に価値が減る仕組みです。これにより継続した消費を促し、買い物に使われた仁は、認定事業者の仕入れを通じて国へ戻り、再び配布に使われます。
まず仁で国産食糧を購入し、足りない分は円で外国産の食糧を購入する。
海外情勢の影響を完全には排除できなくても、国産食糧を日々の食生活の土台にすることを目指します。
フチ・インカム制度で、一人ひとりの食を支える
日本国籍を持つ対象者には、就労の有無や年齢にかかわらず、本人分の「仁」を毎月届けます。一人分で生活のすべてを支える額ではなくても、家族分をまとめて食材購入に使えるなら、家計にとって意味のある支えになります。仕事や暮らしの状況が変わっても、食の支えが続く。その安心を届けようとするのが、今回提案した三位一体の構想の第三の柱フチ・インカム制度です。
この三つがそろうことで、生産を支え、国産食糧の流通・消費を促し、一人ひとりの食を支える。そのつながりと、和むすび市庭が目指す未来をAIが図にまとめてくれました。

「三位一体の構想の実現した世の中」へ
三つの制度を持続させることができれば、国内の食糧生産を支えながら、毎月の食材購入を支える仕組みが育っていくでしょう。さらに、生産力が高まれば、海外からの供給や為替変動に左右されにくい食卓へ近づくことも期待できます。
――これら三位一体の構想を通じて、わが国の食糧問題を少しでも解消し、次の世代に安心して暮らせる未来へむすびたい。
それが、和むすび市庭が、この構想を公開した率直な想いです。
ただ、制度の説明や図だけでは、日々の暮らしがどう変わるのかまでは、想像しにくいかもしれませんね。
次の記事では、「三位一体の構想が実現した世の中」を、具体的な生活の場面を通じて描いてみたいと思います。
主な数値の出典
● 農林⽔産省「令和6年農業総産出額及び⽣産農業所得(全国)」
● 農林⽔産省「令和6年漁業産出額」
● 総務省統計局「⼈⼝推計(2024年10⽉1⽇現在)」


